セタップ!

・以前更新分を読んでいた『リリ勘。』を久しぶりに始めから読み返しつつ、新規更新分まで読了。

・主人公の言行が過大評価され、人格者と見做されたり強者と錯覚されたりするけれど、彼自身は実際には小市民で……という認識の齟齬の面白さはしっかり備えている。でも、それだけではないような。

・僕の目から見ると、彼は間違っても普通の人間には見えない。子供が苦しむのは間違っている、といった卑近な感覚から出発しつつ、自爆に近い魔法を用いてなのは世界の敵と戦えてしまう、その強さは常人のそれとは思えない。―――つまり、勘違いをしているのは作中人物だけではなく、主人公も彼自身の資質を見誤っているのでは、と思う。彼は確かに、なのはちゃん達が勘違いしたような、悲劇を背負った歴戦の戦士ではない。けれど、彼自身は気付いていないとしても、確かに非凡な強さを備えている。その二重性が、極めて素晴らしいと感じた。

・ギャグとしても読めるし、ほんの少しだけ、世界に善意が増えた二次創作としても読める。僕が感じた心地よさは、多分そこら辺に由来するものなのでは、などと思う。