【なのは】 ヘイトがいちばんむずかしい、の?

・前提。世界は過酷であり、悲劇は常態化している。

・多元世界には文化的な格差が存在する。魔法文化を持つか否か、またその水準についても多様なものだ。そのような世界なのにも関わらず、次元犯罪者たちは魔法を用いた暴力を他次元の世界へと振るい、蹂躙していく。防衛手段のない侵略。また、ロストロギアは一度その力を解放すれば一つの宇宙を消し飛ばす程の惨事を招きうるにも関わらず、その危険度とは見合わないほどに魔法の知られていない世界にも容易に出現する。

・このような世界において、個人の力で可能なことは限られている。何かを変えたいと思うなら組織にーーー時空管理局に属する以外になく、時空管理局はこの圧倒的に詰んだ状況から、非人道的な手段を選択することすら時として強いられることになる。

・というところまでが前提、と言いたいけどもしかしたら妄想入ってるかも。おそらく入ってるんだよなあ。

・というところまでが前提として。

・たとえば三人娘が局の正義を盲信、或いは意識すらせず職務に励んでいる……という読み方はいまいち面白く思えないので好きではない。

・無印にせよA'sにせよ、そこで展開された悲劇は過去に存在した悪意/不運に端を発するものではあれ、多くの人を巻き込んで肥大化していく過程には常に善意の擦れ違いと相互の不理解があった。それこそ無印終盤、クロノのプレシアへの啖呵が端的にリリカルなのはという物語の、少なくとも無印とA'sの性格を端的に形容していたと言える程度には。

・そんな悲しい戦いを通して輪を広げていった彼女らが局員として行使できる正義の限界と偏りについて想いを馳せもしない、というのは流石に想像しにくい。

・むしろ、彼女らの弱点は本当の悪ーーー吐き気のするような邪悪と対峙したことがないという一点にこそあり(或いは、それこそが「なのは」の終わりなのかもしれないがーーー)、そこに悲劇的な読み込みの余地があるのでは、と思わないでもないが多分すでに既出なのだろうなーとも。